トイレットペーパーの原料として古紙を思い浮かぶ人が多いと思います。実は、一般家庭で使用しているトイレットペーパーの大半はフレッシュパルプ100%です。森から切り出した木を裁断して作ったパルプ100%です。古紙を使っているものは業務用であまり家庭用には売られていません。環境問題の意識が高い方は、竹からつくるトイレットペーパーを使ってみるといいかもしれません。
いわゆる普通のトイレットペーパーの原料は?
いわゆる普通のトイレットペーパー。例えば「ネピア プレミアムソフト」は、フレッシュパルプ100%で作られた製品です。一方で会社や駅のトイレなどで使用されている業務用トイレットペーパーは100%古紙で作られていることが多いです。
フレッシュパルプとは木材(針葉樹・広葉樹)を原料としたパルプ(製紙に用いるために分離した植物繊維)で、一度も紙にされたことのないパルプのことです。フレッシュパルプの国産化率は30%程度で残りは輸入材になります。輸入材の輸入先はアメリカとカナダとブラジルで70%を占めます。
フレッシュパルプは、森林から伐採された木材から作られるため、伐採の仕方によっては環境破壊に繋がります。FSCマークのついた製品は、適切に管理された森林からのみ伐採された木材から作られています。森林を適切に管理することで環境破壊を緩和しています。FSCとは「Forest Stewardship Council ®」の略で、日本語に訳すと「森林管理協議会」となります。
フレッシュパルプに対して古紙パルプは古紙を原料としたパルプのことで、古紙中のインクやチリを除去して製造されたものです。フレッシュパルプに比べて硬くなる傾向があり、古紙パルプ由来のトイレットペーパーは痔主の方には敬遠される傾向にあります。
ペーパーレス化による紙の需要の減少にともない、古紙の供給も減少していて、回収率を年々上げて行っても、古紙の回収量は減っていっています。その上、日本の上質の古紙は中国、タイなどの東南アジアの国からの引き合いがあり、古紙パルプの調達も価格・量の面で厳しくなっていっています。古紙パルプ製トイレットペーパーはコストの面の優位性が薄れてきています。
一方で、フレッシュパルプは木材を消費します。全世界のすべての製品がFSCの仕組みで森林保護をしつつを製紙をしている訳ではないため、FSCの仕組みから漏れた森林からの乱獲が止まらず、年々地球上の森林面積は減少しつづけています。森林保護には、木材パルプ(フレッシュパルプ、古紙パルプ)以外のパルプの製造が必要で、非木材パネルが少しではありますが、脚光を浴びてきています。
針葉樹・広葉樹以外のパルプ(非木材パルプ)は?
非木材パルプには、ケナフ(麻の一種)とバンブー(竹)があります。ケナフ、バンブーともに木に比べて成長速度が速いので、繊維の収穫量を期待できるのですが、木に比べて集積度が低く収穫効率が悪いことから産業化に至っていません。森林のような広大な竹林がないと、産業化できない問題があります。唯一中国は古紙の中国国内への輸入が禁止になって以降、竹のパルプの使用が加速しており産業化しています。
日本では竹パルプは作っていないの?
日本においては、唯一中越パルプ工業が日本で唯一国産の竹100パーセントを原料とした竹紙も生産し販売しています。中越パルプ工業は「日本の竹100%を原料とした紙をマスプロ製品として生産販売している、唯一の総合製紙メーカー」になります。
中越パルプ工業は、「竹は中が空洞で運搬コストが割高」、「竹は木材よりも固く中が空洞のためチップ化のコストが高い」、「パルプの収率も木材に比べると低い」などの様々な問題を抱えながらも、竹紙を製造してつづけています。
竹紙を使った製品は、ノート、名刺、書道用の半紙等多岐にわたり、Amazonでも購入することができます。
竹パルプの製造工程は
竹パルプの製造プロセスは、以下の一般的な手順で行われます。
- 収穫と準備:
- 竹は収穫され、葉や枝が取り除かれます。
- 収穫された竹は必要に応じて乾燥させ、適切な状態に整えられます。
- 竹の切断と粉砕:
- 竹は適切な長さに切断されます。
- 切断された竹は粉砕機によって細かく砕かれ、竹の繊維を取り出します。
- 繊維化:
- 竹の繊維化プロセスでは、粉砕された竹を高温と高圧の環境で処理します。
- 一般的な方法としては、繊維化剤や蒸気を使用して竹を軟化させ、繊維を解きほぐします。
- 漂白:
- 繊維化された竹パルプは、必要に応じて漂白プロセスにかけられます。
- 漂白には酸や過酸化水素などの化学物質が使用され、パルプの色や純度を改善します。
- 造紙:
- 漂白された竹パルプは、水を加えて均一なスラリー状になります。
- このスラリーは造紙機に供給され、パルプを均等に広げて水分を除去します。
- 続いて、パルプはプレスされ、ドライヤーで完全に乾燥させられます。
- 仕上げと製品化:
- 乾燥したパルプは、必要に応じて染色やコーティングなどの仕上げ工程を経て、最終製品に加工されます。
- 最終製品としては、竹パルプを使用した紙製品や包装材料などがあります。
なお、竹パルプの製造プロセスは製造業者や製品の種類によって異なる場合があります。上記の手順は一般的なガイドラインであり、実際の製造工程はより詳細や特殊化された手順を含む場合があります。
竹製は普通のトイレットペーパーに比べて安いの?
竹紙を使ったノートとか半紙は、パルプから作ったものよりも割高でした。竹製のトイレットペーパーのバンブーロールの場合はどうか比較してみました。
竹から作ったバンブーロールは、定期便 1箱 1,800円(送料別)で、送料は全国一律(※沖縄・離島を除く)1箱680円です。送料を除いて、普通のトイレットペーパーとコストを比べた結果は下記の通りです。1層あたりでみると、バンブーロールよりも、フレッシュパルプ製の方が安いが、古紙パルプ並みの価格ということがわかります。
バンブーロール | ネピア ネピネピ トイレットロール | 業務用トイレットペーパー エコロ | |
原材料 | 竹100% | フレッシュパルプ100% | 古紙100% |
1箱あたりの価格 | 1800円 | 362円 | 2550円 |
1箱あたりのロール数 | 18ロール | 12ロール | 18ロール |
ロールあたりの価格 | 100円 | 30円 | 141円 |
層数 | 3層 | 1層 | 1層 |
長さ | 33m | 50m | 110m |
1mあたりの価格 | 3円/m | 0.6円/m | 1.28円/m |
1層1mあたりの価格 | 1円/m | 0.6円/m | 1.28円/m |
バンブーロールを購入するメリットは?
バンブーロールは、フレッシュパルプ、古紙パルプに比べて絶対的な生産量が少ないので、設備償却費、間接費、利益が十分按分できていません。
現時点は中国で製造して日本に持ってきているので輸送費が上乗せされています。生産量が増えないと価格が下がらない、価格が下がらないと売れない状態になっています。これを打開するには、価格以外の付加価値が必要です。その付加価値は、エコです。バンブーロールのウェブサイトには、【バンブーロールと共に知る・学ぶ】のページがあります。環境問題に興味がある方は、是非そのページをのぞいてもらって、環境への貢献、原材料の多様化という視点で支えるというのはいかがでしょうか?
バンブーロールをつくる過程で使う電力は、水力100%。
https://bambooroll.jp/
バンブーロールはどこで買えるの?
下記のバーナーをクリックすると購入サイトに行けます。定期便 1箱 1,800円(送料別)で、送料は全国一律(※沖縄・離島を除く)1箱680円です。1箱に18ロールです。年間に1人あたりトイレットペーパーを約100ロール消費するそうです。年間6箱15000円払えば、原材料の多様性に貢献ができます。LOHAS(Lifestyles of Health and Sustainability)を目指すそこの貴方は1年間続けてみてはいかがでしょうか?健康的で持続可能な生活様式を手に入れることができます。
キャンペーンが終わってしまったので、別の商品を掲載しています。
他にもバンブー製品はあるの?
メリタのコーヒー用のフィルターペーパーの中には竹製のものがあります。製品における竹パルプの割合は60%で、100%竹ではありません。竹の成長速度が早く3年で再び伐採できるまでに成長することに着目して開発したとのこと。Amazonでは100枚で1980円(1枚20円)ほどでした。
一方で紙パルプのエコブラウンは紙パルプ製で100枚922円(1枚9円)ほどでした。まだまだ竹製は高いです。
材料の多様性を維持するために、竹をあえて使う、森林伐採を減らすために成長の早い竹を使うというのも持続可能な開発目標(SDGs)に繋がるのではないかと思います。
要約
竹から作られたトイレットペーパーは、環境に配慮したサステナブルな選択肢として注目されています。竹は、木材に比べて成長が早く、伐採後も再生力があるため、環境に与える負荷が少ないとされています。また、竹は繊維質が豊富で、木材よりも柔軟性があるため、トイレットペーパーの製造に適しています。
竹から作られたトイレットペーパーのメリットは、環境に配慮した製品であることだけでなく、品質の高さや柔軟性も挙げられます。竹から作られたトイレットペーパーは、紙質が柔らかく、手触りがよいため、肌にやさしく、使い心地が良いと評判です。また、竹は抗菌性が高く、トイレットペーパーに含まれる細菌の繁殖を防ぐ効果があるとされています。
竹から作られたトイレットペーパーの製造においては、伐採した竹を薄くスライスし、繊維を取り出した後、繊維を水に浸して撹拌し、紙を作ります。この製造工程においては、水やエネルギーを節約することができ、環境に配慮した製品となります。また、竹は成長が早く、再生力があるため、竹林の維持・管理が十分に行われていれば、竹から作られたトイレットペーパーは、持続可能な製品となります。
一方、竹から作られたトイレットペーパーには、いくつかの課題も存在します。まず、竹から作られたトイレットペーパーは、竹林の管理によって品質が左右されるため、安定した製品の供給が難しいという問題があります。また、竹から作られたトイレットペーパーは、木材に比べて製造コストが高くなるため、価格が高めに設定されることがあります。